英語教材の周回、7回読み勉強法は効果があるのか?

英語教材の周回、7回読み勉強法は効果があるのか?

ブログ「DIY English」の制作者「大葉かむ」です。

英語学習を行う上で、同じ教材に何度も取り組むという手法は、昔から有効であることはみなさん分かっています。しかし、この周回の回数については、未だ定まっていないのも事実です。少ないものでは3周、多いものでは何十周もするようにと推奨しているものまであります。

近年よく耳にするものとしては、7周というものがあります。これは、山口真由さんの「7回読み勉強法」によるものです。

そもそも、記憶が反復と継続によって定着することは、すでによく知られていることであり、ヘルマン・エビングハウス氏の中期記憶の忘却を表す「忘却曲線」は特に有名です。最近の英語学習アプリでは、この「忘却曲線」を取り入れることで、最適な頻度で復習ができ、記憶の定着を促すものが数多く開発されています。

しかし、忘却曲線と違い、反復回数については未だ明確な数字が示されていません。この「7回読み勉強法」についても、理論的な根拠はまったくもってありません。

根底にある記憶力および量でさえ、個人差は大差ないとされている一方、記憶力は後天的に上げられるといった考えなども存在する有様です。また、教材を周回するにしても、精読するのか流し読みするのか、どれくらいの時間集中して行うのかなど、ありとあらゆるパターン(条件)がある中で、何回繰り返すことが正解であると断言することは、ほぼ不可能でしょう。

そこで、今回はこの有名な「7回読み勉強法」を参考に、英語学習におけるある程度の回数の指標を私なりに示したいと思います。テーマは2つです。
7回読み勉強法は役に立たない
回数の指標を定める

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1. 7回読み勉強法は役に立たない

Reading 7 Times Is Useless

まず、「7回読み勉強法」を考案した山口真由さんですが、札幌市生まれで両親と妹が医師というエリート家族です。高校は筑波大学附属高等学校で、大学が東京大学法学部です。大学在学中は、履修科目の全ての評価で優を修め、3年次には旧司法試験を合格し、4年次に「法学部における成績優秀者」として総長賞を受け、2006年3月に首席で卒業しています。

大学卒業後は財務省へ入省、2008年に退官して弁護士登録した後に法律事務所にてアソシエイト弁護士をしています。さらに、2016年にはハーバード大学法科大学院でLL.M.を取得しており、誰が見てもエリート中のエリート、超天才です。また、タレントとしてテレビ番組へ出演しています。

ここまでが、山口真由さんのプロフィールです。次に、こちらが山口真由さん考案の「東大首席が教える超速「7回読み」勉強法」の本となります。

冷静に考えれば分かりますが、この「7回読み勉強法」だけで、このような超天才が生まれるとは到底思えません

そもそも医者一家の時点で、環境が一般人と違いすぎます。勉強ができる環境に身を置き、英才教育を受けていたことは、容易に想像がつきます。例えば、筑波大学附属高等学校ですが2019年度の偏差値は78です。もし、「7回読み勉強法」が有効であれば、みなさんこのような学校に入学できることになります。

また、これだけの肩書きがある中で、しかもテレビに出ている人が学習法を提示すれば、効果はどうあれ、認知度が高くなることは当たり前です。

では、この「7回読み勉強法」は効果があるのでしょうか?山口真由さんが、この勉強法が有効である根拠に上げている大きな理由として、塾に行かずに超高学歴を手に入れたという点を上げています。しかし、超高学歴の人は意外と塾にいっていないは、多いということをみなさんはご存知ですか?

そもそも塾は、分からないところがあるから通うのであって、自分で理解できる人にしてみれば、移動時間など考えると無駄以外の何ものでもありません。つまり、この根拠は「7回読み勉強法」の有効性を示す証拠には、まったくもってならないということです。

そもそも、頭の良い人はいつの時代でも教科書を何回も読み返しています。「教科書を何回も読み返す=勉強している」わけですから、絶対に頭がよくなります。そのことが分かっているからこそ、いつの時代も参考書を何度も読み返せと言われるわけです。

さて、「7回読み勉強法」の具体的な学手法ですが、
1~3回目:見出しなどを拾いながら読み流す(サーチライト読み)
4~5回目:重要キーワードを意識しながら普通のスピードで読んで要旨をつかむ(平読み)
6~7回目:内容を頭で要約しながら読む(要約読み)
というステップを踏むもので、やる気があれば10回でも20回でも読んでいいそうです。

この方法、2つの落とし穴があります。気が付きましたか?
問題点1:サラサラ読める
問題点2:8回以上読んでもよい

問題点1ですが、有名人しかも超高学歴を持った人が楽できる学習法を提示しているわけですから、淡い期待を持って飛びつくわけです。本当にこの方法だけで、東京大学法学部に入れると思っているのであれば、現実を見たほうがいいと思います。

問題点2は、7回で理解できると言い切っていないということです。つまり、何回も読めば読むほど効果が高いといっているわけです。それは、学習時間を増やせば頭がよくなるという当たり前のことを言っているだけです。そして結局、何回読めばいいのか分かりません。

結論を述べれば、この「7回読み勉強法」ですが、7回読むということ自体には根拠がなく、とにかく何回も同じ教材に取り組めば、自然と頭がよくなるという誰でもわかることを言っているに過ぎないということです。

では、この学習法はダメかと言われれば、曖昧ではありますが的を得ていることも、また事実なのです。なぜなら、それぞれの周回において、
1~3回目:内容の全体像を把握する
4~5回目:全体的な内容の理解を深める
6~7回目:細かい部分まで長期記憶する
を目的としているからです。

この指標は、たいへん参考になると思います。ただ、理詰めまでいけていないため、少し理論を足してもう少し信憑性のある周回を導き出す必要があります。

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2. 回数の指標を定める

Frequency Indicator

まず、そもそもの話として、同じ教材を何度も繰り返す必要性があるのかという問題があります。同じ教材を繰り返し行うことで生じるメリット、そしてデメリットにも成り得るものとして、暗記があります。

英語学習には、英単語のように記憶することが重要であることもあれば、応用力を養うことが重要な部分もあります

そのため、いろいろな教材に取り組むことが重要とされる場合もありえるわけです。その場合はむしろ、教材を周回することは足かせになるだけです。

では、記憶を必要とする英語学習に絞って、考えてみましょう。記憶が必要といっても、記憶に重点を置いた英単語のようなものもあれば、英文法のように基本部分を覚えた上で読解力や応用力といったプラスアルファも必要とするものもあります

そこで、再度「7回読み勉強法」の指標を提示します。
1~3回目:内容の全体像を把握する
4~5回目:全体的な内容の理解を深める
6~7回目:細かい部分まで長期記憶する

ここで、注意すべき点として、「7回読み勉強法」は精読しないという点です。これは、買い手を引きつけるには魅力的な魔法の言葉ですが、本当に理解を深めるためには「精読」はときとして必要です。

精読をしてもよいのかという疑問があるかもしれませんが、「7回読み勉強法」は7回も読み返す上で精読をしていては、負担が大きいため精読はしてはいけないと主張しています。では、逆に7回も読まないのであれば、精読してもよいということになります。

そこで、3つのパターンに分けることで、すべてにおいて精読する方法を提示します。3つのパターンですが、
パターン1(3回):全体像を把握し、内容も理解する
パターン2(7回):パターン1で理解した内容を使いこなし、知識を定着させる
パターン3(10回以上):長期記憶する
です。

パターン1は、例えば英文法書のようなもので、問題に取り掛かる前に全体を把握しておかなければならないという、いわば前準備を必要とする学習に適しています。3回の根拠ですが、1回目で60%から70%を把握(ここでの把握は理解ではなく、存在を認識するということ)するとした場合、3回読み終えた時点で全体の93.6%から97.3%を把握できるからです。これに、実践(問題を解く)を加えることで知識は十分に定着すると考えられます。

次にパターン2ですが、英文法問題集のようなものを想定しており、実際に問題を解いて英語の知識を活用することで、記憶の定着や応用力を習得することを目的とします。これは英単語と違い、使い方の記憶ですから周回は間違えないようになる回数を想定して、7回とします。なお、7回解いても間違えるような問題については、その問題集において難問に属するため、この問題集以降に取り組む教材で再度登場することが予測されます。そのため、少しの問題に気を取られ、ムキになって周回することは労力と時間の無駄になりますので避けたほうがよいと思います。

また7回という回数についてですが、パターン1と違い実際に問題を解くわけですから、初見では理解度(正解率)はかなり低いと想定できます。そこで、1周につき30%の正解率向上が望めるとして計算した場合、7回終えた時点で成果率が91.8%となり9割を超えます。そう考えると7回という回数が適しているのではないかと思います。

最後にパターン3ですが、これは主に英単語や英熟語の暗記です。新しい言葉というものは、初見から100回遭遇しなければ暗記できないといわれていますので、100以上遭遇できるだけ周回することが望ましいと思い、10回以上としています。

なお、今回提示した回数は、あくまで指標に過ぎません。そこでみなさんには、自分なりの工夫を施してもらえるとありがたいです。例えば、パターン1で文法書を3回読み、パターン2で問題集を1回解いてみたもののさっぱり分からなかった場合には、パターン1の文法書に戻って4回目を読むといった工夫です。また、パターン2は成果率で決めるという手もあるでしょう。さらに、それぞれの教材によって回数を変動させるなど、バリエーションは無限大です。ただ、やはり自分の中で指標はしっかり持っていた方が、英語学習法がぶれないため良いと思います。

最後に、今回私が示した指標がみなさんの1つの参考になれば、うれしい限りです。私も、この指標を元に日々の英語学習を継続しています。