YouTubeで学ぶ!バイリンガール英会話#001~#003

この記事では、バイリンガールのちかさんのバイリンガール英会話(YouTube)を通して、リスニングを中心とした英語能力の向上を目指します。
今回は、#001~#003までをまとめました。まずは、それぞれの動画をご覧になった上で、私の説明を読んでいただければと思います。また、動画の中で疑問に思う点などの補足説明も記載しています。
1. AとTheの使い分け // “A” vs “The”〔#001〕
動画のタイトル画面で次のような英文が出てきます。
①A little bit of English by the Bilingual Blogger
バイリンガルブロガーによるほんの少しの英語
②Today’s Lesson: Using “A” & “The”
今日のレッスン:”A”と”The”の使用
③Japanese people have a very hard time distinguishing the use of “a” and “the” as we have no such things in Japanese grammar.In this video, I explain how to use the two appropiately.
日本語の文法には”a”と”the”のようなものがないため、日本人は使い方を区別することに非常に苦労しています。このビデオでは、この2つを適切に使用する方法を説明します。
4:19秒と短い動画な上、日本語での説明も多いのでまさに①のタイトルはぴったりだと思います。②の動画内のタイトルとYouTubeのタイトルは少し違います。YouTubeはタイトル付けによって動画再生回数が大きく左右されるため、このようなことはよくあります。また、動画の説明欄には、動画内容の説明として③の英文が書かれています。
ちかさんが動画を通して”a”と”the”の使い分けについて言いたいことは、以下の3つのようです。
1. “a”と”the”の使い分けができていないとネイティブではないと思われる。
2. 文章にする場合は、”a”と”the”の使い分けをしっかりして欲しい。
3. 単語よりも”a”と”the”に注意して、全体を見直すとよりよい文章が書ける。
実際の説明には、次の2つの例文を上げています。
④I’m going to buy a book.
私は本を買いに行くつもりです。
⑤I’m going to buy the book.
私はその本を買いに行くつもりです。
④の“a book”は一般的な本を指し、⑤の“the book”はある特定された本を指します。中学の英文法書を読めば書いている一般的なことなので、英語学習をされている方には難しくないと思います。
ここで、ちかさんはポイントを1つ上げていますので、押さえておきましょう。
・”a”でも”the”でも1つの文ではたいした問題にはならないが、文全体でみると特定された本を指す場合があるので使い分けが大切である。
この動画ですが、ちかさんは触れていませんが、少し英語学習をした人には違和感がある部分があります。それは、ちかさんが”a”をエイ(éɪ)、”the”をズィ(ðíː)と発音していることです。
・ちかさんが発音を間違えたのか?
“a”はア(ə;)、”the”はザ(ðə)ではないのかと思った人がいるかもしれません。通常であればこちらの方が正しいです。なぜなら、通常はaもtheも英文ではあまり重要とされないため、弱形と呼ばれる弱い音で発音するからです。しかし、今回の動画では焦点が”a”と”the”にあてられていて、その”a”と”the”の違いをはっきりと強調したいために、弱形ではなく強形に変化しています。そのため、強形となる”a(éɪ)”と”the(ðíː)”の発音の方が正しいということになり、ちかさんは間違っていないということになります。
・”a”と”the”の説明のため、強形で発音されている。
2. No shtってなんて言う意味? // Meaning of “no sht”〔#002〕
①Today’s Lesson: No Shit!
今日のレッスン:No Shit!
#002もYouTubeのタイトルと動画内のタイトルは違います。特に“shit”は放送禁止用語とされるため、”sh*t”とYouTubeタイトルでは伏字にされています。しかし、他のYouTube動画では”shit”は普通に使われているので、ちかさんが配慮したということでしょう。
この動画では、まず次の“ソーシャル・ネットワーク”のDVDを見たという話で始まります。#002がアップされたのが2011年06月19日で、Facebookがまだメジャーでないため、ちかさんはmixiのようなものという説明をされています。Facebookの設立は、2004年2月4日、ソーシャル・ネットワークは2010年10月1日に北米で一般公開され、DVDは2011年1月11日に北米で販売された後、同年5月25日に日本でも販売されています。
ちかさんは、この動画では次のことを主張しています。
・映画の日本語翻訳に違和感がある、語弊がある。
・映画の翻訳に気をつける。
その例として、”ソーシャル・ネットワーク”の次の1フレーズを上げています。
②No Shit!
黙れ
ちかさんは、“No shit!”の意味は”それはそうだろうな”であると説明しています。”No shit!”は、相手が当たり前のことを言った際、嫌みっぽく返答をするために使われる汚い表現で、”あたりまえじゃないか”、”もちろんそうだ”、”言われなくても分かってるよ”などの意味を持ちます。そのため、ちかさんの説明は正しいといえます。
また、”黙れ”という意味を表現したいのであれば、次の3つを使うべきであるという指摘もしています。
③shut up
④be quiet
⑤shut your mouth
黙れ
また、“shit”は汚い言葉のため、子供の前や職場で使うべきではなく、”kidding(冗談)”に置き換えるべきとも説明しています。
・”shit”は汚い言葉のため、公の場で使わない。
最後に重要な補足があります。それは、ちかさんがこの動画で根本的な間違いをおかしているということです。
彼女のバイリンガルとしての英語と日本語に対する絶対的な自信がそうさせたのだと思いますが、彼女は動画の中で遠まわしに翻訳家が”誤訳”していると指摘しています。
・プロの翻訳家が誤訳するのか?
しかし、これは大きな間違いです。字幕の翻訳家はプロであり、極稀に誤訳する場合があるとしても、ちかさんがいうような頻繁に誤訳が発生するような自体は起こりません。
では、なぜ英語と日本語訳が合わないときがよくあるのかということになりますが、それには日本語字幕にする際に守らなければならない制約があるからです。その制約が以下の5つになります。また日本語訳は、翻訳ではなく意訳である点も注意が必要です。
1. 日本語字幕は、1秒4文字以下とする。
2. 日本語字幕は、1行13.5文字の2行までとする。
3. 日本語としての流れを重視する。
4. ローカルな現地ネタは置き換える。
5. 文化的背景を元にしたネタは置き換える。
今回の”黙れ”という意訳ですが、この中で条件1が当てはまります。映画でマーク・ザッカーバーグ(Mark Elliot Zuckerberg)役を演じたジェシー・アイゼンバーグ(Jesse Eisenberg)は非常に早口な上に、”No shit!”も非常に短い言葉です。そのため、この場面では2文しか使えなかったと推測されます。そこに条件3を加味すると”黙れ”は、もっとも適切な言葉だと思います。
・日本語字幕には多くの制約がある。
3. 大雨!猫と犬が降ってる?”It’s raining cats and dogs!”〔#003〕
①Today’s Lesson: TGIF
今日のレッスン:TGIF
動画内のタイトルは①のようにTGIFとなっています。この動画では、次の2つの英文について説明されています。
①TGIF
花金
②It’s raining cats and dogs.
雨が激しく降っています。
①については、ちかさんは“Thank Goodness It’s Friday.”の頭文字を取ったもので、女神様に金曜日を感謝していると説明されています。これは、日本でいう花金(華金)にあたるとも説明しています。
しかし、現在では花金は死語(もう使わなくなった古い言葉)となっています。花金は”花の金曜日”という意味で、次の日のことを気にせずに思いっきり遊ぶことができるという意味を持ちます。
次に②についてですが、“猫や犬のような相当大きなもの”が降ってくるくらい大雨であることを比喩していると説明されています。
・”TGIF”は花金と同じ意味になる。
・”cats and dogs”は、激しさを表している。
・”花金”は死語のため、現在は使われていない。
動画の最後では、この2つを合わせた次の英文で締めくくっています。
③TGIF! but it’s raining cats and dogs 🙁
TGIF!でも、雨が激しく降っています。
・”God”と”Goodness”のどちらが正しい?
・なぜ、猫と犬を使うのか?
さて、ここで補足説明となります。まず、①の英文について、ちかさんは”Thank Goodness It’s Friday.”の頭文字を取ったものといっていますが、実は“Thank God It’s Friday.”でもかまいません。
“god”を”goodness”や”gosh(おや)”に言い換えることがよくあります。例えば、”OMG!(Oh my god!)”です。これは、クリスチャンの人が軽々しく”god”を使えないために置き換えられたという説があります。
・宗教上の理由で、言葉が置き換えられることがある。
次に②の由来ですが、古くから使われているために明確な理由が分かっていません。しかも、一説によるとというものが数多く存在します。例えば次のようなものです。
④猫と犬は犬猿の仲であることから使われるようになった。
⑤北欧神話で、猫は雨を降らせる力があり、犬は風を起こす力があると信じられていた。
⑥猫や犬たちが雨の日に濡れた屋根から滑り落ちた。
⑦猛烈な嵐によって飛ばされて死んだ動物の死体をイギリス人が見て使い始めた。
特に⑥や⑦のようなネガティブな由来を信じている人にとっては、気分が悪い表現になります。動画のコメント欄にもそのような意見を述べている人がいました。
最後に、ちかさんの説明にあるような説も探してみたのですが見つけることができませんでした。もしかしたら、ちかさんのイメージによるところが大きいのかもしれませんが、使われ方は間違っていないので問題ないと思います。
・古い言葉の由来は、たくさんの説があるため断定できない。
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