英文法:名詞の種類と用法

ここでは、名詞の種類と用法を説明します。名詞について、少し細かい部分に踏み入りますから、まだ英語全体の構造を理解していない人は、後に回した方がよいでしょう。
英語の名詞は、日本語の名詞とは随分と違います。特に数えられるか数えられないかということを常に意識する必要があり、慣れるまでケアレスミスを頻繁に起こします。
英語の名詞を十分に理解するためにも日本語との違いを考えながら、このページをじっくりと読み進めてください。
学習テーマ
・名詞の種類と用法を学ぶ。
・日本語との違いを理解する。
1. 名詞の種類
1.1 概要
・名詞の種類はいくつあるのか?
数えられる名詞(可算名詞:Countable Noun):
・名詞として数えられるもの。
普通名詞(Common Noun):
・一般的な人やものの名前を表す。
・boy、girl、dog、cat、deskなど。
集合名詞(Collective Noun):
・一般的な人やものの集合体を表す。
・family、people、team、police、nationなど。
数えられない名詞(不可算名詞:Countable Noun):
・名詞として数えられないもの。
物質名詞(Material Noun):
・一定の形のないものを表す。
・water、air、sugar、wood、ironなど。
抽象名詞(Abstract Noun):
・具体的な形がない抽象的なものを表す。
・love、luck、kindness、life、musicなど。
固有名詞(Proper Noun):
・人名や地名など、特定のものを表す。
・John、Mary、Japan、Mt. Fuji、the Nile、など。
・辞書では、可算名詞をC、不可算名詞をUと1文字で表すことが多い。
1.2 解説
英語の名詞は、日本語と違い、“数えられるかどうか”、”単数か複数か”を意識しなければなりません。
数えられる名詞は、可算名詞と呼ばれます。単数の場合は冠詞や数詞、指示代名詞、所有格の人称代名詞と結びつきます(単数形)。また、複数の場合は複数形と呼ばれる形に変化します。
数えられない名詞は、不可算名詞と呼ばれます。複数形が存在しないため、冠詞(a/an)と結びつくことはありません。ただし、冠詞(the)と結びつくことはあります。
詳しいことは冠詞の記事で説明しますが、a/anは不定冠詞、theは定冠詞と呼ばれ区別する必要があります。英語学習初心者は、この部分を区別せず、冠詞として1まとめで扱うため誤った知識が身に付いてしまいます。
・英語の名詞は、”数えられるかどうか”、”単数か複数か”を意識する。
・名詞には、可算名詞と不可算名詞がいる。
・冠詞は、不定冠詞と定冠詞をしっかりと区別する。
可算名詞と不可算名詞の区別は、単純に各名詞で区別することができません。同じ名詞であっても意味違いによって、可算名詞と不可算名詞の両方を取るものもあります。例えば、以下のものがあります。
①a room:C
部屋
②room:U
余地
③a chicken:C
ひよこ
④chicken:U
鶏肉
⑤a fire:C
火事
⑥fire:U
火
・意味によっては、可算か不可算か変わる名詞がある。
2. 普通名詞
2.1 概要
普通名詞とは何か?
普通名詞:
・数えられる名詞である。
・形があって数えられるものである。
・単位である。
・単位も普通名詞に含まれる。
2.2 解説
①Japanese macaques live only in Japan.
ニホンザルは日本のみに生息しています。
②There are twelve months in a year.
1年間は12ヶ月です。(1年間には12の月があります。)
例文①のように、ニホンザルような形が定まったものが普通名詞となります。また、単位は一見すると目に見えないもののため、普通名詞に思えないと思います。しかし、英語では具体的なまとまりをもつものなら数えることができる(可算できる)と考えます。そのため、単位は一定の始まりと終わりがあるために普通名詞として扱います。
普通名詞は可算名詞のため、単数形と複数形があります。
単数形は原則として単独では用いることができないため、冠詞や数詞、指示代名詞、所有格の人称代名詞と結びつきます。
③He wants to live in countrysides.
彼は田舎に住みたい。
複数形は、この例文のように”田舎ならどこでもいいから住みたい”という場合は、田舎全体を指すため、複数形となります。
・形が定まっているものや単位は、普通名詞になる。
・単数形は、単独では用いることができない(原則)。
・普通名詞が人やものの全体を指すときは、複数形を用いる。
最後に普通名詞の単数形にもかかわらず、単独で用いる場合の例を上げておきます。
④I went to school by car.
私は車で学校に行きました。
「学校に通学する」のような、動詞的な意味を帯びたものは単独で用います。また、「車で」という交通手段を表す場合も単独で用います。このような特殊なケースの詳細については別の記事で説明します。ここでは、例外があることを覚えておいてください。
・普通名詞の単数形が単独で使われる場合が稀にある。
3. 集合名詞
3.1 概要
集合名詞とは何か?
集合名詞:
・1つのまとまりとして考える。
・1人1人に重点を置く場合がある。
・複数形がない場合もある。
・集合名詞はその名詞をどのように捉えるかが重要である。
3.2 解説
①There are 50 families in this area.
この地域には50世帯の家族がいます。
②We are a family of five.
私たちは5人家族です。
集合名詞は、1つのまとまりとして考えた場合に単数形と複数形のどちらも成り得ます。例文①では、1つのまとまりとした家族が50世帯あるために「families」と複数形になっています。また、例文②では5人家族を1つのまとまりとして捉えているので「a family」と単数形になっています。
・1つのまとまりとして考え、単数か複数かを見極める。
次に1人1人に重点を置く場合の例です。
③Our class are practicing singing.
④Our class is practicing singing.
私たちのクラスは歌の練習をしているところです。
例文③では、クラスの全員が歌の練習をしており、クラスを構成する1人1人に重点が置かれているために「class」が単数形であっても複数形の扱い(are)となっています。しかし、アメリカ英語では1人1人に重点を置いた場合であったとしても例文④のように単数扱いすることが多いです。
・1人1人に重点を置く場合は、複数扱いになる。
・1人1人に重点を置く場合でも、アメリカ英語では単数扱いになることが多い。
複数形がない場合の集合名詞には、「police」が例として上げられます。「police」は警察官たちという複数に重点が置かれているため、複数扱いとなります。そのため、「police」は単数扱いすることができず、複数形も存在しません。次の例文⑤では、be動詞に「are」が使用されていることから複数扱いであることが分かります。
⑤The police are conducting on-the-spot inspections.
警察が現場検証を行っている。
・常に複数扱いになる集合名詞がある。
最後に注意すべき集合名詞をいくつか上げておきます。
3.2.1. people
「people」は、「人々」の意味では単数形で複数扱い(例文⑥)をしますが、「国民・民族」という意味では普通名詞と同様に扱います(例文⑦)。
⑥People held hands.
人々は手を取り合った。
⑦The peoples were pleased with the result.
その民族はその結果に喜んだ。
3.2.2. furniture
「furniture」は、家具の総称です。そのため、数えられない名詞として扱います。家具を数えたい場合は、「two pieces of furniture」とするか、具体的にtwo bedsと家具を示す必要があります。また、music(音楽)、food(食べ物)、clothing(衣類)なども同様です。
3.2.3. fruit
「fruit」も果物全般を表すため、複数扱いとなります(例文⑧)。しかし、ときとして「fruits」と複数形を使う場合があります。この場合は、その種類に重点が置く場合もしくは異なった種類を強調する場合に使われます(例文⑨)。また、fish(魚)も同様に使われます。
⑧I like fruit.
私は果物が好きです。
⑨This shop sells various fruits.
この店ではさまざまな果物が売っています。
・意味の違いによって扱いが変わる集合名詞がある。
・集合名詞には、総称を表すものがあり、数えられない名詞となる。
・複数扱いの集合名詞であっても、その種類に着目した場合に複数形になるものがある。
4. 物質名詞
4.1 概要
物質名詞とは何か?
物質名詞:
・数えられない名詞(不可算名詞)である。
・単独で使うことができる。
・形、容器、単位などを使えば数えることができる。
4.2 解説
①This dish is made of ice.
この皿は、氷でできている。
②I ate a piece of bread.
私はパンを一切れ食べた。
例文①の氷は決まった形をもたないため物質名詞となります。そのため、単独で扱うことができます。また、例文②のように数を表したい場合は、それぞれの名詞に合った形、容器、単位などを使うことで表現できます。
形、容器、単位を使った物質名詞の数え方の例を上げます。なお、複数を表す場合は、単位の基準となる名詞が複数形になります。
4.2.1 形
①a slice of bread
パン1切れ
②a loaf of bread
パン1斤
③a lump of sugar
角砂糖1個
④a piece of chalk
チョーク1本
⑤two sheets of paper
⑥two pieces of paper
紙2枚
4.2.2 容器
⑦a cup of coffee
コーヒー1杯
⑧a cup of tea
お茶1杯
⑨a glass of water
水1杯
⑩two glasses of milk
ミルク2杯
⑪three bottles of beer
ビール3本
4.2.3 単位
⑫a spoonful of sugar
砂糖1さじ
⑬two pounds of meat
肉2ポンド
⑭three pounds of butter
バター3ポンド
・物質名詞は、不可算名詞であるため単独で扱う。
・数を表したい場合は、形、容器、単位などを使う。
・複数を表す場合は、単位の基準となる名詞が複数形になる。
5. 抽象名詞
5.1 概要
抽象名詞とは何か?
抽象名詞:
・数えられない名詞(不可算名詞)である。
・単独で使うことができる。
・形、容器、単位などを使えば数えることができる。
5.2 解説
①Knowledge is power.
知識は力なり。
②This is a useful piece of knowledge.
これは有用な知識です。
知識は抽象名詞であり、例文①のように単独で扱うことができます。また、数を表したい場合は、物質名詞と同様にそれぞれの名詞に合った形、容器、単位などを使うことで例文②のように表現できます。
・抽象名詞は、不可算名詞でのため単独で扱う。
・数を表したい場合は、形、容器、単位などを使う。
また、前置詞を抽象名詞の前に置くことで、形容詞句や副詞句として扱うことができます。もともと前置詞ofは「特徴、性質」、inは「状態」を表す用法があります。そのため、この用法を用いて次のような用法がよく使われます。
③of importance(= important)
重要な
④of value(= valuable)
価値のある
⑤of use(= useful)
有用な
⑥of help(= helpful)
役立つ
⑦with ease(= easily)
簡単に
⑧with care(= carefully)
注意深く
⑨with precision(= precisely)
正確に
⑩on purpose(= purposely)
故意に
⑪by accident(= accidentally)
偶然に
・抽象名詞は、前置詞と組み合わせることで形容詞句や副詞句として扱うことができる。
6. 固有名詞
6.1 概要
固有名詞とは何か?
固有名詞:
・大文字で書き始める。
・原則として複数形にしない。
6.2 解説
①I’m from Japan.
私は日本出身です。
例文①のように固有名詞は、原則冠詞とは結びつきません。しかし、公共施設などにはtheが付く場合があります。次にその例を上げます。
複数形の固有名詞
②the Philippines(= the Republic of the Philippines)
フィリピン共和国
③the United States of America
アメリカ合衆国
④the United Kingdom(= United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)
イギリス:グレートブリテン及び北アイルランド連合王国
川、海、海峡など
⑤the Nile
ナイル川
⑥the Pacific Ocean
太平洋
⑦the Strait of Dover
ドーバー海峡
公共の建物、劇場、乗り物などの名前
⑧the Eiffel Tower
エッフェル塔
⑨the Metropolitan Museum
メトロポリタン美術館
⑩the Yamanote Line
山手線
新聞名、雑誌名
⑪The New York Times
ニューヨーク・タイムズ
・固有名詞は、原則冠詞とは結びつかない。
・公共施設などには、theが付く場合がある。
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